地獄編

アートと本(というか言葉)と服が好きです

つぐみ

吉本ばななの『TUGUMI』。

 

まだ読み途中だけど思ったこと。

自分は最近、死の直前の命の煌めきのようなものの恍惚に囚われていて、気がづけば命が途絶える瞬間のことばかりを考えている。

自分の中でそれは、「命が燃える」という単語になんとなくなっていたのだけれど、最近それに最も近しい表現が与えられた。

 

草間彌生著、『離人カーテンの囚人』の中の一節。

 

ーーー 生命の消失するときの燐光が降雪の中でスパークした。

 

これだ、と思った。自分の中でうまく言葉に出来なくてモヤモヤしていたものに名前が与えられた。

 

そして、吉本ばななの『TUGUMI』を読んでハッとしたことは、自分は今まで死ぬ「一瞬」にしか着目してこなかったということ。

物語の主人公つぐみは、病弱で、何年も生死の間を彷徨っている。その生き様は、儚くも、自ら生命を削るようにいつも強い温度で燃えている。

私はこんなんじゃ死なないと自分で納得したいがために敢えて体調を崩してしまいそうなことをする。

 

いままで考えてきたのは一瞬の火花のような、スパークする生命。

それに対してつぐみは青い炎のように静かだが強く、そしてゆらゆらと危うく燃える命。そんな命もあるのだということを気づかせてくれた。